マウスピース矯正をする前に知っておくべきデメリット
目立たない矯正方法として人気のマウスピース矯正は“自身で取り外しできる”、“目立たない”というメリットだけが目立ちがちですが
そんなマウスピース矯正にもデメリットはあるのです。
マウスピース矯正を始める前にメリットとあわせてこれらのデメリットも知り、マウスピース矯正を行うかどうかの参考にしてください。
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを取り替えながら歯並びを矯正する治療方法です。
マウスピース自体の製作はまず歯型をPCに取り込み、
PC上で理想的な歯並びになるように少しずつ動かしながらマウスピースを作っていく流れです。
そうやってシミュレーションして製作したマウスピースを順番通りに使うことによって歯並びが治ります。
マウスピースは透明なため、長期間要する歯列矯正を目立たずに行えるのがメリットです。
通常のブラケット矯正は器具を装着することでそれが他人に分かってしまいます。
分かってしまうだけならともかく非常に目立ってしまうのが欠点で、
マウスピース矯正にはそういった見た目の悪さを気にする心配がないのです。
このため、社会人や女性に特に人気の治療方法です。
マウスピース矯正には以下のデメリットがあるため、
矯正を行う前に必ず把握し、実際にマウスピース矯正を行うかどうかの参考にしてください。
取り外し可能ということで必要な時だけ装着すればいいイメージのマウスピース矯正ですが、
肝心の“必要な時だけ”というのが1日20時間以上にもなります。
マウスピース矯正はシミュレーションされたマウスピースを使用しながら歯を動かすもので、
食事や歯磨き以外は基本的に装着し続けることが必要になります。
仮に指示どおりの時間使用しなかった場合は動いた歯が後戻りを起こしてしまうため、
治療期間の長引きや治療そのものの失敗に繋がります。
<対処方法>
自由に取り外しできるという利便性を自分の都合で考えず、
決められた時間に使用して決められた期間で交換することで早く歯並びが改善されると理解することです。
いくら目立たないとは言え矯正は早く終えたいですし、早く歯並びを治したいと思うのが当然の心理です。
マウスピース矯正でそれができるかどうかは、使用時間などを守ってこそ可能なのだと知ってください。
マウスピースは寝ている間も装着しますが、ここで問題になるのが歯ぎしりです。
矯正で使用するマウスピースは歯ぎしり用のものとは異なります。
薄いプラスチック製で噛み合う部分まで覆われているため、
歯ぎしりなどの強い力が掛かると割れてしまうことがあるのです。
<対処方法>
これは歯ぎしりを抑えることが解決策になります。
それには日中マウスピースを装着している時に噛みしめない意識をすることです。
日中意識することで筋肉がそれを覚え、寝ている間の歯ぎしり防止に繋がります。
もし壊れてしまった場合は次のマウスピースを使用することになりますが、
あまり頻繁に壊れてしまうようであればマウスピース矯正の適応ではないと言えます。
マウスピース矯正の場合、大きなねじれやズレがあると治療に時間が掛かってしまいます。
と言うのも、マウスピース矯正は抜歯をする矯正で大きく歯を動かす、
もしくは歯のねじれを治すという点においてはあまり得意でないのです。
そうなると、いずれ治るにしてもそこまで掛かる時間が他の治療方法に比べて長くなってしまいますし、
それに比例して治療費も高くなってしまうのです。
<対処方法>
抜歯を伴う場合やねじれが大きい場合は、先にブラケット矯正である程度治しておきましょう。
そして、その上で改めてマウスピース矯正を行えばいいのです。
半年から1年ほどブラケット矯正を行っておけば、結果的に治療期間を大幅に短縮することができます。
マウスピース矯正の場合、
奥歯の噛み合わせまでしっかり噛み合うように歯並びを整えられない場合があります。
マウスピースは噛み合う部分まで多い歯を動かすため、
上下それぞれの歯をしっかり噛ませながら治療することができないのです。
<対処方法>
奥歯の噛み合わせをあまり動かさずに治療できる場合にはマウスピース矯正は有効です。
ただし、奥歯を大きく動かす必要がある場合には高い効果が得られないため、
まず部分矯正を行って改善してからマウスピース矯正を行います。
マウスピース矯正の場合、歯の全体を長時間マウスピースで覆うことで歯を動かします。
この仕様上、唾液の流れが悪くなってしまうのです。
唾液は口の中の細菌を洗浄する役割を果たしているため、
それが不充分になることで虫歯になるリスクがどうしても高まってしまいます。
<対処方法>
食事の際はマウスピースを外せるため、食後にマウスピースを装着する前に丁寧に歯磨きしてください。
この時、単にブラッシングするだけでなくデンタルフロスも使用することをおすすめします。
また、フッ素ジェルやフッ素の洗口剤も効果的ですし、夜の歯磨き後にフッ素ジェルをマウスピース内に入れ、
1時間ほど浸透させてからマウスピースを装着することでも高い虫歯予防効果を得られます。
デメリットばかりをお伝えしてきましたが、もちろんマウスピース矯正が悪いという意味ではありません。
当然マウスピース矯正ならではのメリットも多々あり、それについても紹介していきます。
これがマウスピース矯正の最大のメリットで、ブラケットやワイヤーを使用しない矯正方法のため、
例え大きく口を開いても矯正装置が見えることはありません。
見た目の悪さで矯正を躊躇している人も多いですし、
その点において目立たないマウスピース矯正は他の矯正治療よりも優れています。
マウスピース矯正は食事の際に外せますが、これも他の矯正方法に比べて優れたメリットと言えます。
と言うのも、ブラケットの場合はそこまで強力に接着されているわけではないため、
あまり硬いものや大きめの肉は食べられないという食事制限があるのです。
一方マウスピース矯正にはそういった制限は一切ないため、何でも食べられます。
ブラケットの場合はワイヤーなどが複雑な状態で装着されており、自身でそれを外すことはできません。
このため、歯磨きするのに時間が掛かるという欠点があるのです。
その点、マウスピース矯正では歯磨きの時に外すことができるため、
歯磨きはもちろんのこと、デンタルフロスまでしっかり行うことができます。
マウスピース矯正で使用するマウスピースの素材はプラスチックです。
このため、金属アレルギーの人でも安心して使用することができます。
ブラケットの場合はブラケットやワイヤーが金属製なので、それが理由で矯正を断念した人もいるでしょう。
こうしたアレルギーとは無縁なマウスピース矯正は、身体に優しい矯正方法とも言えます。
セラミックの冠を歯に被せてある場合、ブラケットを使用する時はそれを外す必要があります。
これはブラケットを歯につけるためで、外した後は仮歯や穴を開けて対処します。
一方マウスピース矯正では、基本的にセラミックごと歯を動かすことができるのです。
ただし、歯並びが綺麗になることで歯茎の位置がズレる場合は、
矯正後にセラミック治療をやり直す必要があります。
単に矯正の効果だけで言うなら、ブラケット矯正の方が優れているのは事実です。
しかし、目立たないマウスピース矯正の方がいいという患者さんの気持ちは理解できます。
この“目立たない”というメリットだけで考えず、
全てのメリットとデメリットを理解した上で矯正方法を決めてください。
次の記事 >